私たちが地域社会の中で学んだことを、そのまま返す活動。
社会のニーズも確かめながら、広い視野で人の心に向かい合いたい。
私たちは、地域密着で損得抜きのコミュニュケーションを心がけています。先日、お聞きした大学教授のお話では、ドイツでは社会のニーズを知る狙いで週休三日のうちの一日を地域貢献活動やボランティアに充てることを国策としてうたっているそうです。損得抜きの人間関係の中で、本当に今世の中が求めていることとは何かを知るのです。私たちも地域貢献活動の中から、「一般の主婦の方は今、こんなことを重視している。」、「子供たちはこんな悩みを持っているのかあ。」、「この制度はだんだん合わなくなってきて、こんな新しい制度が生まれつつあるのだな。」ということを肌で実感し、すべてこの仕事にも生かせているのだと思います。
私たちは、「NPO法人ウォータードアーズ」に参画し、街の良さ、水戸の自然を再確認して、街をもっと盛り上げていこうという活動をしています。アメリカのセントラルパークに次ぐ都市型公園として世界で第二位の敷地面積を持つ千波湖周辺の公園を観光客の方にアピールし、千波湖と偕楽園の間の桜川に渡し舟を浮かべ、偕楽園の観梅に見えた観光客の方を無料でお乗せして、水面上から水戸の景色を楽しんでもらうということを計画しています。昔、水戸のお殿様が、舟に乗って偕楽園に遊びに来た、それを再現しようと考えています。
以前、水戸で撮影された映画「桜田門外の変」も、一緒に長くボランティアをやっている仲間との「水戸で映画を作れたら面白いね」という話から実現したものです。夢が現実になる喜びを経験する中で、損得感情だけでは生まれなかったものの大きさを実感しています。それが、まわりまわって会社にもプラスになっているのです。それは、時間をかけて、ひとつひとつの活動が証明していると考えています。
私がどうして、このような考えを持つようになったかという理由は、私自身、子どものころから街に育ててもらったからです。近所に自転車屋さんのおじさんが、よく私を軽トラの横に乗せてくれて、パンクした自転車の引き取りや、お得意様周りにつれていってくれました。その中で、「商売というのがどういうものか」ということや、横のつながりの大切さを学びました。「みんなが助け合って、街というものができているのだ」ということを、身をもって経験することが出来ました。ですから、今私がしていることは、子供のときにしてもらったことを、そのままそっくりしているということなのです。子どものころにお世話になった方に恩返しをしたいのです。私たちが今、いろいろな地域活動をするということは、私たちがお世話になった方たちに対する、形を変えた恩返しだと思っています。
現在は、すべての流通がネットで取引され、心のふれあいが希薄になっている時代です。ですが、目の前で今困っている人、誰も目を向けない地域、誰も相手にしない年齢層、そういったところに私たちはきちんと目を向け、対応していきたい。そんな仕事をしていきたいと思っています。そして、業界としてもみんなが一点に向かって走っていくのではなく、もっと視野を広げて見てほしいと考えています。いざというときの備えだけではなく、起こさないための安全教育など、業界や地域社会全体で取り組んでいければ、社会がよりいいものになるのではないかと思いますね。